ジョージア工科大学及びクレムソン大学の研究者らによれば、リチウムイオン電池の陰極の製造に真昆布など褐藻類から採取したアルギン酸塩を使用することで、電池の容量を 10 倍に増やすことができることが分かったという。
A Major Constituent of Brown Algae for Use in High-Capacity Li-Ion Batteries
アルギン酸塩コートシリコン粒子

アルギン酸塩でコートされたシリコン粒子
Battery Storage Could Get a Huge Boost from Seaweed-Technology Review
従来の陰極の作成方法は黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデン (PVDF) のような高分子接着剤を NMP 溶液で混ぜるというものだ。黒鉛の代わりにシリコン粒子を使用することでイオンをより多く吸着することができるのだが、シリコン粒子は充電すると 4 倍に膨れ上がってしまうため、PVDF に亀裂が生じ陰極が損傷してしまう。そこで PVDF の代わりに海藻由来のアルギン酸塩を使用した場合、陰極に損傷を与えることなくシリコン粒子を膨張させることが可能となる。またこのアルギン酸塩は水溶性であるため NMP 溶剤が必要なくなり、製造コストの節減とより環境に優しい製造過程を実現することが可能となる。

実用化の前に、シリコン陰極の対となる、同量のリチウムイオンを吸着できる陽極を開発しなくてはならないとのことだが、従来の陽極を使用してもリチウムイオン電池の容量を 30~40 % 程度増やすことができるのだそうだ。

8%容量up↑