ニキビを免疫的に予防、治療できるワクチンをカリフォルニア大学サンディ​​エゴ校の皮膚科学准教授 Eric Huang (春明黄Chun-Ming Huang)らが開発、世界最大のワクチンメーカーのサノフィパスツールと開発契約を締結した。

Teruaki Nakatsuji

彼らが注目したのはニキビの原因菌のアクネ菌そのものではなく、アクネ菌が皮膚細胞を攻撃する際に使われるタンパク質、CAMP。このCAMPを遺伝子操作した大根を使って生産して取りだし、マウスの鼻にスプレーしたところ、CAMPの抗体が作られ炎症の改善が確認された。
ニキビが出来る過程
角栓によって毛穴の皮脂腺が詰まると、毛穴の酸素レベルが下がってアクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス)が表皮細胞を攻撃し始め、組織中に侵入する。このアクネ菌を攻撃する白血球などの免疫反応が引き起こす炎症がニキビをつくる。

現在のニキビ治療は、抗生物質や抗菌クリームが使われているが、アクネ菌が耐性を持つことで慢性化し、肝心のニキビに効果が出なくなるどころか、皮膚を保護する善玉菌までも殺菌しかねない問題がある。

今まで、ニキビ研究はニキビマウスという実験動物がないことが研究の障害となっていた。Huangらの研究グループはアクネ菌をマウスの耳に直接、注射することで炎症を引き起こして実験を行った。

細胞壁アンカー型タンパク質のシアリダーゼを標的

2008年にTeruaki Nakatsuji らは細胞壁アンカー型タンパク質のシアリダーゼを標的としたニキビワクチンを作成した。そして、この点鼻ワクチンを与えたマウスが非摂取マウスに比べ炎症が少なかったと報告した。

これは、アクネ菌の繁殖を抑制することができるが正常な皮膚はバランスよく菌がいることで保護されているので、抗生物質と同様、かえって皮膚に悪影響を与える可能性があった。

このため、研究チームは異なるアプローチを試みた:ニキビの原因菌のアクネ菌そのものではなく、アクネ菌が皮膚細胞を攻撃する際に使われるタンパク質、CAMP。このCAMPを遺伝子操作した大根を使って生産して取りだし、マウスの鼻にスプレーしたところ、CAMPの抗体が作られ炎症の改善が確認された。

遺伝子組換え大根でニキビ ワクチン

このワクチン、スプレー式点鼻薬または内服薬で入手できればありがたいのだが、当面はマイクロニードルによる、皮膚への注射での治療が検討されているという。